国が主導して線状降水帯の研究に取り組むことによって、“予測” に関する知見も蓄積されてきたようです。
線状降水帯の発生メカニズムで説明した通り、発生のカギを握るのは、“湿った空気” の流入です。
つまり、発生を予測したい場所の風上における水蒸気量のデータが必要となります。
しかし、特に九州地方においては、風上にあたるのが東シナ海など海上であるため、従来の気象観測システムでは詳細な水蒸気量データの取得が困難であるという課題がありました。
そこで、気象庁をはじめとする研究チームが、観測船「凌風丸」を東シナ海上に派遣し、そこでの水蒸気量データを収集したり、それと実際に発生した豪雨データを相互参照しました。
その結果、予測値と実測値が近づいてくるなど、予測精度の向上が認められ、気象庁は、線状降水帯の発生予測には海上観測が有効であると判断しました。
以上の成果に基づき、2021年の夏ごろから、線状降水帯が好発する九州地方において、線状降水帯の発生を事前に予測できた場合には、発表して注意を呼び掛けるそうです。
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